寒暖の変化がきつい。すこし前に最高気温が二十三度だったのに、昨日は三度。首都圏でみぞれ、雪が降ったところもある。
外出しようとおもって、外に出たら、あまりにも寒くて、冬用の服に着替える。
今週発売の『週刊朝日』の「最後の読書」というコーナーでエッセイを書いた。選んだ本は、山田風太郎の『コレデオシマイ。』(角川春樹事務所)――そのまんまというか、ひねりはまったくありません。
人生の最後に読みたい本といわれても想像つかなかったのだが、山田風太郎のエッセイは、今のところ、どんな体調のときでも読める。だから枕もとにいつも置いている。最後に手にとる本になる可能性は高い。
最近は堀内正徳著『葛西善蔵と釣りがしたい』(フライの雑誌社)も困ったときに読む本になっている。何度も読み返している。
《毎年、三月下旬から四月上旬に東京へ多めの雨が降る。東京都を東西に流れる多摩川は、その時季に調布あたりで三〇センチほど水位が増える》
「この雨が上がれば」というエッセイの出だしの文章だ。多摩川の増水が落ち着くと、高度成長期に姿を消していたマルタウグイという魚が自然遡上する。九〇年代に、放流をはじめ、再び、多摩川で自然産卵するようになったらしい。
《今では春、サクラの満開を待ちかねたように、多摩川の荒瀬では大量のマルタウグイが折り重なるようにして産卵行動をする。その光景は北海道の秋、カラフトマスやシロザケの産卵をほうふつとさせる》
東京の川でこんな光景が見られることを知らなかった。
そろそろマルタウグイの産卵の季節なのだろうか。