2020/06/24

いい日

 仕事部屋兼書庫の引っ越しからもうすぐ一年になる。
 午後一時くらいに起きて冷たいほうじ茶を水筒に入れ、徒歩三分くらいのところにある仕事部屋に行く。テレビもネット環境もないのでずっとTBSラジオを流している。

 プロ野球が開幕してひいきの球団はちょっと調子はよくないが、去年、一軍と二軍を行ったりきたりしていた選手が活躍して嬉しい……と書いていたらヤクルトファンの尾崎世界観が同じような感想を喋っていた。

 やらないといけない仕事が手につかず、黒田硫黄の『茄子』(全三巻、講談社)を読む。『月刊アフタヌーン』で連載がはじまったのは二〇〇〇年秋ごろか。もう二十年前か。

『茄子』の若隠居になりたい男性の名前がおもいだせなくて読み返した。二巻くらいだったかなとおもったら二巻だった。「お引っ越し」と題した回。デパートでアルバイトしている女性が可愛い。彼女は風呂なしアパートに引っ越したあと「リッチじゃなくても優雅に暮らす」とテレビのない生活を送る。
 隠居志望の男性はコンビニの夜勤のバイトをしながら「もっとガシガシ稼がないと若隠居はムリかなあ」とボヤく。やる気がなくて頼りない。で、結局、隠居じゃなくてインドを目指すのだが……。ちがうかもしれないが、九〇年代後半くらいの中央線界隈の下宿っぽい雰囲気だ。
『茄子』の中でも特に好きな回なのだが、ディテールはけっこう忘れていた。小さなエピソードだけで登場人物の性格がすーっとわかる形で描く。
 三巻には表紙にクマが描かれている。全巻通して登場する職業不肖のヒゲメガネ中年の回にクマが出没する。ツキノワグマか。たぶん場所は岩手だとおもう。花輪線の駅名が出ていた。前に場所を調べたことがあったが、それも忘れていた。

 三巻の「いい日」の「ロマン補充すっか」というセリフはおぼえていた。これは忘れん。