八月二十三日(土)、二十四日(日)、高円寺の阿波踊り。土曜夕方、西部古書会館に行く(初日は木曜だった)。古書会館にいても太鼓、笛の音が聞こえた。
午後六時すぎ、駅周辺の人だかりを避け、庚申通りの肉一のカルビ串二本、さらに小杉湯方面に迂回し、中通り、沖縄料理店の抱瓶でオリオンの生ビールを一杯。
日曜日、ユータカラヤで牛タンを買い、キャベツといっしょに焼く。高円寺駅の南口のとんかつ松永で串かつと卵串を買う。途中、手回しオルガンのオグラさんと道で会う。
高円寺中央公園の出店を見て、九州料理マルキュウで生ビール。一度、家に帰り、夕方五時に再び抱瓶に行き、オリオンの生ビールと焼きそばをテイクアウト。商店街で立ち往生している車を見る。高円寺は狭い道ばかり、一方通行だらけなので、他所から車で来た人には厳しい町かもしれない。
西部古書会館は前回の均一で四十冊も買ってしまったので雑誌を中心に見る。『文学』特集「ラフカディオ・ハーン再読」(二〇〇九年七・八月号、岩波書店)、季刊『自然と文化』特集「名所[ハレ空間]の構造」(一九九〇年新春号、観光資源保護財団)、『江戸楽』特集「弥次さん喜多さん 東海道駿州の旅」(二〇二二年三月号)、同じく『江戸楽』特集「東海道完成四〇〇年 東海道“五十七次”に出会う旅」(二〇二四年二月号)を買う。
『江戸楽』の発行はエー・アール・ティ株式会社。同誌今月号の特集は「千住宿 開宿四〇〇年」と知る。バックナンバーを見ると街道や宿場の特集がけっこうある。二〇一三年十月号「お伊勢まいり」の特集も気になる。
季刊『自然と文化』特集「名所」、小野良平「飛鳥山の名所づくり」——飛鳥山は花の名所で知られるが、その名所づくりには徳川吉宗が関わっていた。
飛鳥山、滝野川周辺は花の名所だけでなく「滝浴み、螢狩、虫聴、看楓、雪見、釣、土器投げ、初午詣、田楽祭、そして料理屋での遊興と、多種多様の四時遊覧が繰り広げられた」とのこと。
コロナ渦中、ちょうど桜が満開のころ、飛鳥山公園に行ったことがある。ほとんど人がいなかった。飛鳥山のある京浜東北線の王子駅は高円寺から都営バスも走っている(バス停は高円寺駅前ではなく、環七沿いにある)。四十分くらいで着く。
歌枕は和歌に詠まれた名所や旧跡、現実に存在する土地であると同時に日本人の「心の風景」ともいわれている。物語絵巻を見ると、歌枕の地が描かれている。
わたしは東京に三十六年暮らしながら、関東地方の歌枕をほとんど知らない。
郷里の三重に関しても鈴鹿山や鈴鹿川が歌枕と知ったのは五十歳を過ぎてからだ。
西行や芭蕉も歌枕めぐりをしている。力士の四股名にも歌枕の地名がついていることがよくある。たしか丸谷才一のエッセイにも相撲と地名の話があった。どの本だったか……。
街道や歌枕のことを調べていると、あっという間に時が過ぎる。
街道の研究をはじめる前は、地理もそうだが、日本の古典はどちらかといえば苦手分野だった。浮世絵も関心がなかった。
訪れたことのある土地が詩や絵になっている。それだけで興味がわいて面白くなる。人間の脳は不思議である。