先週コタツ布団を出した。朝方はすこし冷える。
コタツといえば、腰痛。毎年、コタツの季節になると、腰痛の兆候の二、三歩手前くらいのピリっとした痛みをおぼえる。
昨日も原稿を書いたり、インターネットでプロ野球のドラフトと戦力外情報を追いかけたりして、ずっと座りっぱなしで、立ち上がった瞬間、いやな予感がした。すぐ薬を飲んで、安静。なんとか事なきを得た……はず。散歩しよう。
布団にひきこもって、吉田秋生の『海街diary 6 四月になれば彼女は』(小学館)を読む。キンドル版が出るのが待ち遠しかった。
この作品は川本三郎著『時には漫画の話を』(小学館クリエイティブ)で知った。川本さんは「近年でもっとも好きな漫画」と絶讃している。
《全体にチェーホフの『三人姉妹』やオルコットの『若草物語』の現代版の趣がある》
『フライの雑誌』を読むようになって、近々、釣りをはじめようと決意(来月、釣り竿を買う予定)。本を読んでいても、やたら「釣り」という言葉に反応してしまう。『海街diary』の四姉妹の三女千佳が、鎌倉のスポーツ用品店で働いていて釣り好きという設定だ。
ちなみに、長女は看護師、次女は地元の信用金庫、末っ子(姉たちとは母親はちがう)は中学生で女子サッカーの選手である。
二巻で千佳は『月刊へら王』という雑誌を読みながら「よっしゃ! このタイミングか!」と釣り竿をふっている。
最新刊で四姉妹は金沢(四女すずの亡くなった母の郷里)を訪れるのだが、そこでも千佳は観光そっちのけで加賀毛針(鮎毛針)を買いに行くシーンがある。彼女たちの亡くなった父も渓流釣りが趣味だった。
すこし前まではこういうシーンをなんとなく読み飛ばしていたかもしれない。わたしはずっと作者の意図みたいなものを探るような読み方ばかりしていた。興味や関心事が増えると読み方も変わってくる。
登場人物の仕事ぶりや職業観、家族模様……。メインからサブまで、ここまで緻密な人物造形がほどこされた群像劇は、そうはない。ストーリーだけでなく、細部のおもしろさが、作品のふくらみになっている。
長女の幸が勤めている病院で緩和ケアの仕事に就くのだが、このあたりの話も東京ベンチの砂金さんと会ってなかったら、そんなにピンとこなかったとおもう。