十年前、二〇一五年のブログを読み返していたら、四月三十日に「昨日、コタツ布団しまう」と書いている。
昨年五月のブログに「上京して三十五年になるが、これまで四月にこたつ布団を片付けた記憶がない。自己新かもしれない」と書いているがちがった。勘違いに気づくのに一年以上かかった。
何の役にも立たなさそうな備忘録も記憶の一助にはなる。
これまで読んできた本の内容もいろいろ思い違いがあるにちがいない。
日曜午前中、部屋の換気のち西部古書会館。臨時開催の高円寺均一まつり。二日目全品百円。『近世武相名所めぐり』(神奈川県立博物館、一九九一年)、『挿絵と装幀の小宇宙 竹下夢二から川上澄生まで』(北海道文学館、二〇〇〇年)、辰野隆編『酒談義』(日本交通公社出版部、一九四九年)など十二冊。『酒談義』は折込の「一目で分かる 全國名酒分布図(地図)」付。地図中と欄外に各地の日本酒の名前がびっしり。詳細すぎて一目で分からない。『続・酒談義』も刊行された。いったん家に帰り、妙正寺川沿いの道を歩く。
散歩中、少子高齢化社会は平和や安定、それと衛生と医療の向上の副作用なのかもしれないとぼんやり考える。今の時代も政治にせよ経済にせよ、何かと問題はあるが、昔と比べると、ひとりでも生きやすい社会になっている(とくに都市部は)。
先週は二日連続で神保町から靖国通りを歩いた。九段坂公園は東京タワーだけでなく、東京スカイツリーも見える。両方見えるポイントもある。タワーを意識するようになって、ときどき後ろを振り返る習慣が身についた。九段坂公園付近、街路樹が繁ってくるとスカイツリーが見えにくい。天候や季節によって見えたり見えなかったりする。
一口坂から市ケ谷駅に向かうまでの間、武道館側の歩道だとドコモタワーが正面方向にはっきり見える。これまで靖国神社側の歩道ばかり通っていたので気づかなかった。
靖国通りは武道館側(南)の歩道か靖国神社側(北)の歩道かで見える景色が変わる。水曜日は小雨が降ってきたので市ケ谷駅から電車に乗った。木曜日は四ツ谷駅まで歩いた。市ヶ谷橋を渡って市ヶ谷濠沿いの道を歩く。途中、高力坂という坂があり、そのすこし先に外濠公園野球場がある。草野球のナイターを見る。市ケ谷駅〜四ツ谷駅間は近い。八百メートルちょっと。
二十歳前後——三十五、六年前、麹町の編集プロダクションに出入りしていた(雑用係)。高円寺駅から四ツ谷駅まで行き、麹町まで歩いた。当時、仕事が終わると寄り道せず、高円寺に帰った。
四ツ谷駅から乗った総武線が中野駅止まりだったので代々木駅で降り、新宿駅寄りの十号車乗り場付近からドコモタワーを見る。
高円寺駅は中央線と総武線のホームでドコモタワーやスカイツリーの見え方がちがう。
わたしは総武線のホームの八号車と九号車乗り場(阿佐ケ谷駅寄り)の間くらいからドコモタワーと都庁を見ることが多い。たまに中央線のホームの新宿側からのドコモタワーとスカイツリーを見る。新宿寄りの二号車の乗り場あたりに両方見えるところもある。
またタワーの話を書いてしまった。タワーが見えると嬉しい。タワーが見える場所を見つけるのも楽しい。この感情は何なのか。