旧街道を歩いて宿場町に寄る。本陣、脇本陣、常夜燈、一里塚、道標……。歩きながら町の歴史や地理を知る。週末、「マケイン」という言葉が気になってアニメ『負けヒロインが多すぎる!』全十二話(二〇二四年七月放映)を二日かけてアマゾンプライムで視聴した。東三河の学校が舞台で二川宿、吉田宿周辺の東海道がちょくちょく出てくる。「吉田中安全秋葉山常夜燈」や豊橋鉄道の駅や周辺の町も描かれている。四月十二日の中日新聞のサイトに「続編制作決定」の記事が出ていた。
郷里に帰省するさい、浜松と豊橋はよく途中下車して街道を歩いている。まだまだ知らないところがたくさんある。
土曜の昼、西部古書会館、『同時代 第三十一号 特集Ⅰ 樹について 特集Ⅱ 辻まこと』(法政大学出版局、一九七六年)、『歴史カタログ 第2集 幕末維新古地図大図鑑』(新人物往来社、一九七七年)、佐佐木信綱著『ある老歌人の思ひ出 自伝と交友の面影』(朝日新聞社、一九五三年)など。いずれも百円〜二百円だった。
『同時代』は矢内原伊作が編集発行人の雑誌(発行所「黒の会」)。辻まことは一九七五年十二月に亡くなったので没後刊行の特集である。巻末に辻まことの書誌も載っている。
『歴史カタログ 第2集』は岩田豊樹・歴史に親しむ会編集。表紙カバー裏に年表や図版、大判のカラー印刷で凝っている。一番すごいとおもったのは「海陸道中図絵」(安政年間=一八五四年〜六〇年)。鳥瞰図として精密で素晴らしい。この地図ははじめて見た。版元は仁龍堂(信州)である。阿賀川、信濃川が描きこまれていて、会津や越後の地形がよくわかる。
『歴史カタログ』第1集は「日本歴史大図鑑」。巻末の「歴史カタログ」刊行予定には第3集「日本紋章大図鑑」、第4集「日本肖像大図鑑」、第5集「日本甲冑図鑑」、第6集「戦国合戦古地図大図鑑」と告知しているが、刊行されたかどうかは不明である(もし第6集が出ていたらほしいのだが)。
佐佐木信綱は郷里・三重県鈴鹿出身の歌人で目次の最初に「石薬師・松阪・東京」とある。
《廣重の東海道五十三次の画を次々に見てゆくと、終りに近づいて、本陣の前を馬に乗った旅人が通って行く、家つづきのうしろは林で、近い山は色こく、遠い山が淡く聳えつづいてをる構図がある。これが自分のふるさと、伊勢石薬師駅である》
石薬師には佐佐木信綱記念館がある。わたしが生まれ育った町は東海道の石薬師宿の隣の庄野宿がもよりの宿場町だった。今、親が暮らしている家は伊勢街道の神戸宿が近い(父の墓は神戸宿の寺にある)。
石薬師宿を歩くと「信綱かるた道」がある。わたしが郷里にいたころはなかった(二〇〇四、五年ごろにできた)。
(追記)四月十二日放送の「ブラタモリ」、伊勢街道の神戸宿界隈を歩いていたと知る。見逃した。