昨晩、夏葉社の島田さんと高円寺で飲んだ。今月、橋口幸子の『いちべついらい 田村和子さんのこと』、黒田三郎の詩集『小さなユリと』が夏葉社から刊行された。
今回の夏葉社版の『小さなユリと』は、一九六〇年に刊行された昭森社の『小さなユリと』の完全復刻。表紙の絵は黒田ユリ。奥付の発行日の五月二〇日も同じである。
二十代のころ、吉行淳之介と鮎川信夫を知って、それから第三の新人と「荒地」の詩人の作品を追いかけるようになった。吉行淳之介でいえば、父エイスケの交遊関係もあるし、「荒地」の詩人でいえば、彼らが翻訳した海外の詩や文学にまで関心は広がる。
わたしが最初に読んだ黒田三郎の本は『死と死のあいだ』(花神社、一九七九年刊)というエッセイ集だった。この本の中の「詩をして語らしめよ」で、天野忠、杉山平一、大木実、会田綱雄、菅原克己といった詩人を知った。黒田三郎は一九一〇年代生まれの詩人(天野忠は一九〇九年生まれだが)をこんなふうに評している。
《詩を通じて知るかぎりでは、一様に皆、シャイな性格のようである。シャイであるだけでなく、切ないくらいにやさしいところがある》
この言葉はそのまま黒田三郎の詩にもあてはまる。
島田さんは「黒田三郎を知らない読者に読んでほしい」といっていた。わたしもそのつもりで『小さなユリと』の解説を書いた。
2015/05/26
ペース配分
とくに書くことのない日のことを書いてみようとおもっていたら、昨日の昼、茨城南部で震度五弱(震源地は埼玉)、都内も震度四――。
自宅の本棚の上に積んでいた文庫本と新書がパラパラと落ちてくる。仕事部屋の木造アパートのほうは一冊も本が崩れていなかった。建物は軽いほうが、揺れに強い。地震の多い日本で木造住宅が普及したことには理由がある。
平屋の長屋で生まれ育ったせいか、平屋住宅が好きだ。今でもできれば、二間か三間の小さな木造の平屋の家で暮らしたい。といっても、長屋に住んでいたころは、二階以上の部屋に住むことに憧れていたのだが。
上京して最初に住んだのは東武東上線沿線の下赤塚の父が勤めていた工場の社員寮で部屋は一階だった。その年の秋、高円寺に引っ越して、それから築三十年以上の木造の風呂なしアパートを転々とした。その間、ずっと二階だった。二〇〇一年夏、二度目の立ち退きで古い木造アパートに懲りて、鉄筋のマンション(家賃は高円寺の相場からすると安い)に引っ越した。
上京以来、はじめて日当たりのいい部屋に住んだ。最初の一年で自分がすこし健康になったことを体感した。年中ひいていた風邪もあまりひかなくなった。風邪をひかなくなったのは日当たりだけが理由ではない。鉄筋の部屋に引っ越す一年前から、毎日新聞の夕刊でコラムを週一で連載することになったことも大きい。
週一の連載をするようになり、体調管理に気をつかうようになった。体調管理といっても「疲れたら休む」「からだを冷やさない」「酒を飲みすぎない」くらいなのだが、何も考えてなかったころと比べれば、それだけでもかなりの改善につながったとおもう。
不定期の仕事ばかりしていたときは、忙しい時期とひまな時期の差が激しくて、忙しい時期(たいてい月末)のあと、ほぼ体調を崩した。
ライターの仕事にかぎっていえば、本を読むとか文章を書くとか、いろいろ勉強はあるが、若いころはペース配分や体調管理を疎かにしがちだ。でも疎かにすると、長く続けられない。
わたしはそのことを学んだのは三十歳すぎてからなのだが、持続ということを軸にものを考えていけば、大きくまちがえることはないとおもうようになった。ただし、持続は保身に傾きやすいという欠点もある。
持続と保身の話はいずれまた、何も書くことがおもいつかなかった日に書いてみたい。
自宅の本棚の上に積んでいた文庫本と新書がパラパラと落ちてくる。仕事部屋の木造アパートのほうは一冊も本が崩れていなかった。建物は軽いほうが、揺れに強い。地震の多い日本で木造住宅が普及したことには理由がある。
平屋の長屋で生まれ育ったせいか、平屋住宅が好きだ。今でもできれば、二間か三間の小さな木造の平屋の家で暮らしたい。といっても、長屋に住んでいたころは、二階以上の部屋に住むことに憧れていたのだが。
上京して最初に住んだのは東武東上線沿線の下赤塚の父が勤めていた工場の社員寮で部屋は一階だった。その年の秋、高円寺に引っ越して、それから築三十年以上の木造の風呂なしアパートを転々とした。その間、ずっと二階だった。二〇〇一年夏、二度目の立ち退きで古い木造アパートに懲りて、鉄筋のマンション(家賃は高円寺の相場からすると安い)に引っ越した。
上京以来、はじめて日当たりのいい部屋に住んだ。最初の一年で自分がすこし健康になったことを体感した。年中ひいていた風邪もあまりひかなくなった。風邪をひかなくなったのは日当たりだけが理由ではない。鉄筋の部屋に引っ越す一年前から、毎日新聞の夕刊でコラムを週一で連載することになったことも大きい。
週一の連載をするようになり、体調管理に気をつかうようになった。体調管理といっても「疲れたら休む」「からだを冷やさない」「酒を飲みすぎない」くらいなのだが、何も考えてなかったころと比べれば、それだけでもかなりの改善につながったとおもう。
不定期の仕事ばかりしていたときは、忙しい時期とひまな時期の差が激しくて、忙しい時期(たいてい月末)のあと、ほぼ体調を崩した。
ライターの仕事にかぎっていえば、本を読むとか文章を書くとか、いろいろ勉強はあるが、若いころはペース配分や体調管理を疎かにしがちだ。でも疎かにすると、長く続けられない。
わたしはそのことを学んだのは三十歳すぎてからなのだが、持続ということを軸にものを考えていけば、大きくまちがえることはないとおもうようになった。ただし、持続は保身に傾きやすいという欠点もある。
持続と保身の話はいずれまた、何も書くことがおもいつかなかった日に書いてみたい。
2015/05/24
ここ数日
土曜日、神保町。澤口書店で藤田榮吉著『鮎を釣るまで』(博文館、一九三二年刊)を買う。はじめて二階で珈琲を飲む。帰りに東西線に乗ったら、吊り広告に五月二十一日から発車メロディを順次導入とあって、なんだろうとおもっていたら、九段下駅で爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で」の「九段下のなんちゃらちゃら~」の部分が流れた。
家に帰ると『BOOK5』の最新号が届いていた。今回の特集は「古本即売会へようこそ!」。都内だけでなく、名古屋古書会館の倉庫会、福岡の古本市なども紹介している。ものすごく充実した内容だが、編集後記に全部売れても赤字と書いてあった。ちょっと心配。
東京新聞の書評、紀伊國屋書店の『scripta』、『小説すばる』の連載を書く。週末飲めない日が続く。
日曜日、西部古書会館。『雑学少年アメリカ百科』(責任編集=松山猛、黒川邦和、平凡社、一九八三年刊)など。『雑学——』の帯付はじめて見た。『BOOK5』の特集で、古本屋ツアー・イン・ジャパンの小山さんが西部古書会館の二日目の様子を書いていた。観察眼が鋭い。さすがに棚の数は、数えたことなかった。
家に帰ると『BOOK5』の最新号が届いていた。今回の特集は「古本即売会へようこそ!」。都内だけでなく、名古屋古書会館の倉庫会、福岡の古本市なども紹介している。ものすごく充実した内容だが、編集後記に全部売れても赤字と書いてあった。ちょっと心配。
東京新聞の書評、紀伊國屋書店の『scripta』、『小説すばる』の連載を書く。週末飲めない日が続く。
日曜日、西部古書会館。『雑学少年アメリカ百科』(責任編集=松山猛、黒川邦和、平凡社、一九八三年刊)など。『雑学——』の帯付はじめて見た。『BOOK5』の特集で、古本屋ツアー・イン・ジャパンの小山さんが西部古書会館の二日目の様子を書いていた。観察眼が鋭い。さすがに棚の数は、数えたことなかった。
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