十四日、十五日の連休、朝七時に新宿駅からロマンスカーで小田原、それから熱海に。熱海駅のバス停で金谷ヒデユキさんといっしょになり、そのまま熱海港へ。数日前から熱海に来ていた手まわしオルガンのオグラさんたちと合流し、船で初島に行く。
二十年ぶりくらいに海で泳ぐ。というか、体力が落ちていて、泳げない。水中メガネとシュノーケルと浮輪を借りて、魚の大群を見る。といっても、海に入っていた時間は数十分。あとは岩場で缶のハイボールを飲みながら、ぼーっとしていた。釣り客の姿を見て、もしまた行くことがあったら、釣りをしようとおもった。肌が痛くなるくらいの日焼けする。
夕方、熱海に戻り、温泉に入って、トランプする。
翌日、朝から卓球とビリアードをする。動体視力をはかるゲームみたいなのをやったら五十代という判定だった。視野が狭く、端のほうが見えない。
淡々と書いているが、おもいだすとこれから仕事をするのが、いやになるくらい楽しかった。
昼すぎにホテルをチェックアウト。熱海のビーチに行く。屋台で焼きそばやビールを買って、ビニールシートを敷いてだらだらと宴会。夜、熱海の花火を見る。花火が降ってきそうなくらい近い。
花火が終わった瞬間、睡魔に襲われ、ビニールシートの上で寝てしまう。髙瀬きぼりお画伯に揺すられて、自分が寝ていたことに気づく(不機嫌な対応をしてしまったような気がするが、あんまりおぼえていない)。
この日、東京に帰るつもりだったのだが、飲みすぎて、面倒くさくなって、オグラさんの知り合いの別荘というか仕事部屋みたいなところにお世話になる。
本がいっぱいある部屋で寝起きにその別荘の持ち主(他界している)の著作を何冊か読んだ。専用の原稿用紙もあった。
朝、近所を散策する。熱海は坂が多く、曲がりくねった道も多い。道のあちこちから温泉の湯気が出ている。干物を売っている店が多い。ときどき、海が見える。
おもしろい地形の場所を歩くのは楽しい。海と山が近い場所が好きなのは、祖母がいた伊勢志摩の地形と似ているからかもしれない。
東京に帰る電車の中、ふと「あと何回くらい海で泳ぐかな」とおもった。花見の季節に「あと何回桜が見れるんだろう」と考えてしまう、あの感覚にちかい。
自転車の乗り方と泳ぎはいちどおぼえたら忘れないというが、二十年以上、運動らしい運動をしていないと泳げなくなる。
気持よさそうに海で泳いでいる友人を見て、ちょっと羨ましかった。