やらなきゃよかったとおもう仕事について、いろいろおもいだそうとしたのだが、けっこう忘れてしまった。
それなりに長く仕事を続けていると、ひとつひとつの失敗によるダメージも多少軽くなってくる。「ハイ、ハイ、次、次」ってかんじで、終わった仕事のことは忘れて、次の仕事に時間をつかう。
昔の自分からすれば、想像もできない。
ビジネスライクに割り切ることが苦手だったし、落ち込むとかなりひきずった。
ライターの仕事は、事実誤認や誤字脱字はつきもので、避けたくてもなかなか避けられない。校正、校閲の人にいつも助けられている。言い訳させてもらうと、おもいこみや勘違いというのは、他人に指摘されないと自分で気づくことはむずかしいのである。
たとえば、本に関する文章を書くさい、著者名や本の題名はぜったいにまちがうわけにはいけない。でも、まちがえるんですよ。ビックリしますよ。何度も何度も見ているはずなのに、頭の中で誤変換されてしまうのだ。
あとたまに作家名が男性っぽいのに女性(あるいはその逆)というケースで、後から性別がわかってものすごく焦ることもある(例:荒川弘)。
外国の作家だと、プロフィールではわからないことがあって、安易に「彼」や「彼女」という言葉をつかうのは怖い。詳しくは教えないが、何度かミスしている。
いろいろな勉強があるけど、自分の失敗の傾向を知ることは大事だとおもう。とはいえ、わかっていても、同じようなミスをくりかえすものだ。
たまに、しめきりそのものを別の日と勘違いしてしまうことがある。そのたびに、二度と同じあやまちはくりかえさないと心に誓っているのだが、最近もやってしまった。
しっかりしろと自分にいいたい。
(……続く)